相続発生前後の信託のメリットについて簡単に解説させていただきます。
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信託財産が「不動産」と「現金」の2つの事例で紹介します
事例1:不動産を信託するケース
贈与税や不動産取得税はかからないが、まったく税金がかからないわけではない
例えば、親が所有する収益物件や自宅を信託することによって、その管理や運用、処分(売却や建物の解体)を託された子供が行うことができるわけですが、この場合、不動産であれば登記の名義が変わりますが、親が「委託者」兼「受益者」となるので、「受託者」となる子供に贈与税や不動産取得税はかかりません。
ただ、まったく税金がかからないかといいますと、信託にそういった機能はありません。
親の相続が発生した場合はその時点で、受益者としての権利(受益権≒不動産の価値)を相続した子供等に、相続税が発生することになります。
家族信託は、あくまで、親に代わって子供が財産の管理処分を行うこと
つまり、家族信託は、あくまで、親に代わって子供が財産の管理処分を行うことで、資産活用や相続税対策を継続できる状況を作り出すことができるイメージになります。
ただし贈与税の税率より、相続税の税率のほうが低くなる場合も多い
贈与税の税率より、相続税の税率のほうが低くなる場合も多いので、その点がメリットになる場合もあるでしょう。
事例2:現金を信託するケース
信託をしていた場合は銀行口座が凍結される心配はない
相続前に現金を信託した場合も、不動産における取り扱いと同じになります。
親が、疾病や認知症になり、判断能力を失った場合、銀行口座が凍結される場合があることは身近に聞いたことがあるかもしれません。
その場合でも信託をしていた財産については、子どもが受託者として管理しているため、口座を凍結される心配はなく、継続して親の生活費や療養費、または交際費等に使用し続けることが可能です。
そして、相続発生後でも、お金は子どもが管理している状況を継続しているので、死亡後の口座凍結もされず、葬儀費用や債務弁済もスムーズに対応をすることができます。
まとめ
信託手続き自体に節税や相続税対策のメリットがあるわけではないので、家族信託のメリットをご理解いただき、節税が目的であれば信託以外の対策をする必要があります。
税金に関するご相談は税理士等の専門家にご相談いただき、ご家族の将来の財産の活用について入念に検討が必要です。
また、民事信託はご家族の構成や財産の種類、将来のご希望等によってオーダーメイドする仕組みです。
詳しくは、民事信託を取り扱う司法書士・弁護士等の専門家にお声掛けください。