今回も、前回の続きとして民事信託(家族信託)の活用例をご紹介します。
民事信託(家族信託)活用例~子なし夫婦~
夫Xと妻Yの夫婦は、夫Xが受け継いだ先祖代々の自宅に2人で暮らしています。
夫婦には子どもはいませんが、夫Xの妹の子である甥Aが近くに住んでおり、とても頼りになる存在です。
いずれは甥Aに先祖代々守ってきた自宅を承継したいと考えています。
そこで、夫婦で遺言を作成しようと考えました。
しかし、夫Xは遺言だけで果たして十分に対策できているか不安に思っています。
どのような対策をしたら、夫婦が安心できるでしょうか?
夫Xが『不安に思っていること』とは?
夫Xが不安に思っているのは、妻Yよりも先に自分が亡くなってしまった時のことです。
もし夫Xが先に亡くなってしまった時は、自宅を妻Yに相続するつもりでいますが、その後、妻Yも亡くなった時、自宅は果たして甥Aに承継することが本当に可能なのでしょうか・・・。
例えば、夫Xの死後に、妻Yが、妻Yの兄弟や親戚に説得されて遺言を書き換えてしまったら、夫Xの先祖代々の自宅が妻Yの一族にわたってしまう可能性もあります。
自宅を無事に甥Aに引継ぎ、夫Xの親族で守っていくために、より確実に承継できる方法はないでしょうか?
解決 民事信託(家族信託)を活用しましょう!
夫Xの先祖代々受け継いできた自宅の承継には、【民事信託(家族信託)】を活用するとよいでしょう。
夫Xを「委託者 兼 受益者」、甥Aを「受託者」、妻Yを「夫X死亡後の受益者」とします。
また、夫婦が二人とも亡くなった後に自宅を受け継ぐ「帰属権利者」を甥Aとします。
このように民事信託(家族信託)を活用すると、現状は、夫婦が今までと変わらず自宅に住み続けることができ、また夫Xが先に亡くなったとしても妻Yが住み続けることも可能です。
また、甥Aは、夫婦の生前から、受託者として夫婦に代わって自宅の管理を行い、最終的に夫婦が亡くなった後には、帰属権利者として甥Aが自宅を引継ぐことができます。
遺言のような書き換えリスクは? → 契約内容によって回避することができます!
民事信託(家族信託)は、契約後に内容を変更することもできますが、信託内容の変更には受託者の甥Aの合意が必要になるなどを明記しておくとよいでしょう。これにより、信託の契約内容が、遺言者の書き換えのように妻Yだけの判断で変更されることはなくなります。
民事信託(家族信託)では、遺言だけでは対応できなかった部分を対策できるため、夫Xが不安に思っていた遺言の書き換えリスクにも対応することができます。
夫婦の死後、甥Aに承継するには? → 「帰属権利者」を甥Aにしましょう!
「受託者」と「帰属権利者」を甥Aに設定しているため、夫婦の生前は、受託者である甥Aに家の管理などを手伝ってもらいながら、最終的に夫婦が亡くなった時(信託が終了した時)には、甥Aに名義を引き継ぐ事ができるようになります。
ぜひ一度、専門家にご相談ください!
遺言書の作成だけでも十分に対策できる場合もありますが、民事信託(家族信託)をうまく活用する事で、遺言書だけでは対策しきれない部分の対策も可能になります。
将来の相続に備える際は、ご家族や資産の状況に合わせてさまざまな選択肢を検討してみてください。
できれば、一度、詳しい専門家にご相談ください。
思いもよらない対策を教えてもらえたり、よりベストな対策に近づけると思います。
もし身近に専門家がいらっしゃらなければ、当事務所でも相談を受け付けておりますので、是非一度お気軽にご相談ください♪
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