前回に続き、民事信託(家族信託)の活用例についてご紹介したいと思います。
前回までは、認知症対策のための民事信託(家族信託)の活用例をご紹介しましたが、今回は『不動産』を保有している方に、ぜひ知っておいていただきたい民事信託(家族信託)の活用例をご紹介します!
民事信託(家族信託)の活用例~不動産の相続~
父Xは先に妻を亡くし、長女Aと長男Bの2人の子どもがいます。
父Xは財産の大半が、1棟の賃貸不動産です。
子どものうち、長男Bは不動産経営の経験があるため、不動産を相続させても心配はありませんが、長女Aは不動産経営をしたことがありません。
長男Bに不動産をすべて相続させると、長女Aの遺留分を侵害してしまいますし、2人に平等に相続させることができなくなってしまいます。
とはいえ、不動産を長女Aと長男Bの共有名義にすると、2人での不動産の管理や売却手続きが大変になるのではないかと心配しています。
何か良い対策はないでしょうか?
解決 民事信託(家族信託)の活用
賃貸不動産を信託財産とし、父Xを「委託者 兼 受益者」、長男Bを「受託者」とする民事信託(家族信託)を活用します。
長男Bは自身の財産とは区別し、父Xに代わって、賃貸不動産の管理等を行います。
長男Bの管理者もと、父Xは亡くなるまでの間、信託した賃貸不動産からの賃料を受取ることができます。
父Xの死後は、長女Aと長男Bが受益者となり、賃料や、将来この賃貸不動産を売却した際には売却代金を分け合うことができます。
また受託者として信託財産の管理等を担っている長男Bには信託報酬という形で、報酬を支払うことも可能ですので、兄弟がお互いに不平等感なく財産を承継できるようになります。
まとめ
上記の例のように、民事信託(家族信託)を活用することで、スムーズな財産承継がでる場合もありますが、不動産を信託財産にした場合には、赤字分の損益通算ができないなどのデメリットもあります。
民事信託(家族信託)に詳しい専門家によくご相談の上、ご家族や財産の状況に最も合う対策をご検討ください!
もし身近な専門家がいらっしゃらない方は、当事務所でもご相談をお受けしておりますので、お気軽にご相談ください♪
【当所HPに令和4年12月23日までの期間限定で、お得な遺言作成キャンペーン情報やお問合せフォームがありますのでご興味のある方はこちらをご確認ください。】